職人気質の父(店主)は普段まったく梅肉エキスについて話すことはありません。
「お父さんの作る梅肉エキスが他とどう違うのか教えて欲しい。 想いを話してほしい」と今まで何度お願いしも
「話すことなんてない」と相手にしてもらえませんでした。
ところが、やっと、やっと、口を開いてくれました。
無言でひらすら梅肉エキスを煮詰める姿。
そこにはこんな父の想いが詰まっていました。
ぽつり、ぽつりと和歌山弁で父は梅エキスについて語りだしました。
梅エキスというものは
梅エキスっていうもんは、ほんまは塩を作るみたいに、梅の汁を天日干しにするんや。ひたすら天日に干したら水分が蒸発して梅エキスになるんや。
でも、そんなことは時間的に無理やから、火で炊いて煮詰めて水分を蒸発さすんや。
ワシはなるべく自然の梅エキスに近づける為に火を止めてから、約10時間、釜の余熱だけで煮詰めて仕上げるんや。余熱だけでも沸いてくるから、最初は10分おきに(大きな木のへらで)混ぜる。
それが20分おきになり、9時間くらい経ったら半時間に1回くらい混ぜて仕上げる。
ここが他とは違うとこや。
他のところは火を止めた瞬間に完成なんや。
でもうちは違う。
余熱でじっくりじっくり水分を蒸発させるんや。
ここが一番のこだわりや。
最後まで煮詰めて仕上げるのとでは味が全然違う。
梅肉エキスの炊き方
梅エキスを30日間(30回)炊くとする。
その日の天候、気温、湿度によって沸きあがる間隔、表面に出る泡の状態が違う。
同じ日は1日もない。
だから火を止めるタイミングが毎回違う。
仕上がりを見極める(=火を止める)のは目と鼻。
泡の状態と匂いで見極める。
温度を測ったりするけど、単なる目安で、最後は目と鼻で見極めるんや。口では説明できん。
納得いくまで30年
圓三郎さん(初代)は口では何にも教えてくれんかったからそばについて必死で覚えた。
職人さんについたとして、梅エキスを炊けるようになるまで10年〜15年かかる。100%納得のいく梅エキスを作れるようになるまでに30年かかった。
自信がついたのは最近や。
エキスを始めた頃は、なんとかしてええ梅エキスを作ってやろう!と闘争心で作っていた。
なんとか勝ってやろうと格闘していた。
でも、ある時ふと「梅エキスは生きもんや」と思うようになった。
なんでかは分からんけど。それから気持ちが変わった。
梅エキスを認めて、仲良う協力していこうと。
それからや。いいエキスが出来るようになったんは。
もっとええ梅エキスを作りたい
でも、もっともっとええ梅エキスを作りたい。
今ので満足したらそこで終わりや。
死ぬまで勉強や。
死ぬまで梅エキスを炊き続ける。
うちの梅肉エキスは世界一!
私は子供の頃からそんなお父さんの背中を見て育ちました。
普段はただの頑固おやじやけど、梅エキスを作っている時は子供心に
「お父さんってすごいなぁ。」と尊敬していました。
ゴーっという火の燃える音だけが工場に響いていて、
煮えたぎる釜の前でじっと火を見つめて、ひたすら煮詰める姿。
そんなお父さんが作ったうちの梅エキスは世界一やと思ってます。
圓三郎さん(私の曾お爺さん)の梅エキスを炊いてる姿も記憶にあるけど
やっぱり釜の前でじっと火をみつめていたなぁ。何歳まで炊いてたんやろ?85歳くらいかなぁ。
足を悪くしてからは、第一線を退いたけど
梅エキスが始まると一日縁側に座って作業をじーっと見ていたのをよく覚えています。
初代から100年近く受け継がれる伝統製法で、店主が20時間以上もの加熱時間をかけて作る梅肉エキス(梅エキス)は、青梅1kgからわずか20gしか作れない希少品。
原料は和歌山産の良質の青梅のみを選び、その種を取り除いて絞った果汁を何日もかけて、じっくりじっくり煮詰めて作っています。
当店一番人気の無添加で100%本物の梅肉エキス
梅肉エキスを飲みやすい粒状に加工、スッぱいのが苦手な方に
サプリメント感覚で気軽に梅肉エキスを召し上がりたい方に
想像以上に美味しいと評判の梅肉エキス飴は、おやつ感覚でどうぞ